エンジンと性能

独自のサウンドを備えたツッフェンハウゼンのV8

カイエンGTSモデルにV8エンジンが再び搭載されるようになったことで、先代モデルを上回る出力とトルクが体感できるようになりました。新しいチューニング構成を備えた標準装備のスポーツエグゾーストシステムは、その豊かなV8サウンドによって、走りの性能が総合的に向上したことをアピールします。GTSモデルは、カイエン ターボと同じ世代のエンジンを搭載することでメリットを享受します。ポルシェが開発したV8ツインターボエンジンは、ツッフェンハウゼンのエンジン工場で製造されています。カイエンGTSでは、4リッターエンジンが最高出力338kW(460PS)を発生し、620N・mの最大トルクをクランクシャフトに伝えます。現行のV8ツインターボエンジンは、ニューGTSモデルにメリットをもたらす多数の技術ハイライトも特徴であり、アダプティブシリンダーコントロール、中央にインジェクターを配置したダイレクトフューエルインジェクション、およびインテリジェント設計のサーマルマネジメントシステムが理想的な効率性を実現させています。カイエン全モデルと同様に、8速オートマチックトランスミッションのティプトロニックSがエンジンのトルクを地面に伝えます。

センターターボレイアウトによる瞬時の応答

ニューカイエンGTSモデルに搭載されている4リッターV8ツインターボエンジンには、アピールすべきテクノロジーが数多く採用されています。センターターボレイアウトもその一つであり、V字を形成する各シリンダーバンクの間にターボチャージャーが配置されています。この配置によって、エンジンがはるかにコンパクトになったため、車両への搭載位置を下げることができました。燃焼室とターボチャージャーを結ぶ排気ガスの経路が短縮されたことで、応答性にも磨きが掛っています。したがって、このセンターターボレイアウトは、エンジン出力の向上を可能にするのです。反対方向に回転する新しいツインスクロールターボチャージャーは、エンジンの低回転域で大きなトルクを発生します。また、エンジンの応答性も向上します。ターボチャージャーの排気ガスフローは、単独の流れとしてタービンホイールに連続的に供給され、V8特有の給気サイクルのデメリットを大幅に軽減します。最適化されたダイレクトフューエルインジェクションシステムは、燃焼室内のセンターインジェクターの配置に特徴があります。ソレノイド駆動の高圧フューエルインジェクターは、7つのスプレー穴を備えたマルチホールインジェクターとして設計されています。個々のスプレージェットの最適化された配置により、均一な混合気を形成します。センターインジェクターの配置と高い噴射圧によって、全ての作動状態で効率が向上し、最適な燃焼が保証されます。革新的な製造方法と素材も使用されています。たとえば、製造に砂型鋳造コアパッケージプロセスを使用したことや、高強度メインベアリングカバーを4本のボルトで固定するようにしたことで、シリンダークランクケースの重量が大幅に削減されました。これと同時に、高出力に対応するための剛性もアップしています。革新的なプロセスは生産にも使用されています。たとえば、鉄でコーティングされたライナーは、大気圧プラズマ溶射によってコーティングされます。これは非常に堅牢なコーティングで、高負荷に耐えることができ、摩耗することはほとんどありません。

ニューカイエンGTSモデルは、先代を14kW(20PS)上回る最高出力338kW(460PS)と先代を20N・m上回る最大トルク620N・mを発生します。ニューカイエンGTSとカイエンGTSクーペは、スポーツクロノパッケージ(クーペに標準装備)との組み合わせで、静止状態から100km/hまでわずか4.5秒、200km/hまで17.6秒で加速します。0-100km/h加速タイムは、先代を0.6秒上回ります。

ボリューム感のある独特なサウンド

GTSモデルにおいて伝統的にサウンドは特に重要な特徴となります。複雑で詳細な作業を経てニューカイエンGTSモデル専用に開発されたスポーツエグゾーストシステムは、非常にエモーショナルなサウンドによって車両のスポーティーな外観を強調します。ニューモデルには、V8エンジンのパワフルなサウンドを強める、切り替え式のスポーツエグゾーストシステムが標準装備されています。テールパイプを外側に配置したエグゾーストシステムを設計するにあたり、スポーティーでボリューム感のある独特のサウンドを実現することに焦点を合わせました。これによって、スポーツモードとスポーツプラスモードの両方で、よりエモーショナルなサウンドが得られます。スポーツエグゾーストシステムは、ポルシェコミュニケーションマネージメント(PCM)システムを介して“Car”メニューで作動することもできます。

ツインブランチスポーツエグゾーストシステムには、改良された大容量のリアサイレンサーが備わります。他のカイエン モデルで利用できるオプションと比較してみると、GTSモデルに標準装備されるスポーツエグゾーストシステムには、車内の知覚効果を強化するための対策が追加で施されています。乗員のサウンド体験をより豊かなものにするため、リアのエリアを中心に断熱材の量が削減されているのもこうした対策の一つです。左右の外側に配置されたハイグロスブラック仕上げのツインテールパイプを備える標準装備のスポーツエグゾーストシステムは、カイエンGTSモデルのスポーティーな外観も確保します。

クーペ(ライトウエイトスポーツパッケージ仕様車)の中央に配置されたスポーツエグゾーストシステム

カイエンGTSとカイエンGTSクーペは、インテリア構成の違いによって車内の容量が異なるため、サウンドの知覚も異なります。ラゲッジコンパートメントカバーのデザインの違い(カイエンGTS:可変、カイエンGTSクーペ:固定)などの詳細も、サウンド体験に影響します。さらに、カイエンGTSクーペのために、中央に楕円形のテールパイプを配置したスポーツエグゾーストシステムが開発されました。この新しいエグゾーストシステムは、ライトウエイトスポーツパッケージとの組み合わせでのみ利用可能です。将来的にはカイエン ターボクーペおよびカイエン ターボS E-ハイブリッドクーペにも提供される予定です。

テールパイプを中央に配置したスポーツエグゾーストシステムは、テールパイプを外側に配置したエグゾーストシステムとは根本的に異なる設計になっています。シリンダーバンクから出る2本のエグゾーストパイプは、センターサイレンサーからリアサイレンサーおよび排気ガスを大気中に放出するアウトレット部にいたるまで、経路全体にわたって互いに独立しています。この排気ガスアウトレットを中央に配置したことが新しいエグゾーストシステムの特徴です。テールパイプが外側に配置されたスポーツエグゾーストシステムの場合、アウトレットは左右にそれぞれ配置されます。それぞれの場合において、メインサイレンサーのすぐ上流に位置する左右のメインパイプには、連続的に調整可能なフラップが備わっていて、エンジン回転数と負荷マップによってフラップが制御される仕組みになっています。バイパスは、フラップの前のメインパイプから分岐し、それぞれメインサイレンサーのチャンバーで終わります。これらのチャンバーは穴の開いた内部フロアによって3つのエリアに分割されており、そこを通る排気ガスはメインパイプへ戻る前に外部に排出されます。フラップの切り替え状況により、全ての排気ガス、または定義された比率の排気ガスが、メインパイプまたはバイパスとサイレンサーを通過します。これによって、明確に差別化されるサウンドパターンが得られるという仕組みです。モータースポーツ由来の甲高いエグゾーストチューニングは、差別化されたユニークなサウンド体験を提供します。

標準装備のスポーツエグゾーストシステムと、中央に配置されたスポーツエグゾーストシステム(オプションのライトウエイトスポーツパッケージとの組み合わせのみ)のサウンドの違いは、高負荷およびエンジン高回転域(スポーツモードまたはスポーツプラスモード)での走行時に特に顕著です。



概要
シャシーおよびシャシーシステム