カイエンターボGTのドライビングダイナミクスは、スポーツカーの基準に合わせて包括的に設定されており、サーキットでの使用のポテンシャルを念頭に置いて設計されています。これは、車の重心から始まります：カーボンルーフは、カイエンクーペ全モデルに通常取り付けられているパノラミックルーフに比べて車両の最高点で約22kg軽量です。軽量ルーフは、車両の総重量を抑えるだけでなく、ドライビングダイナミクスにとって非常に重要な重心を下げて、ボディロールを低減します。カイエン ターボクーペより車高を17mm低く設定することでこの効果が強化されます。これによって、卓越したドライビングダイナミクスのための前提条件が満たされます。最適なパフォーマンスとハンドリングを実現するために、パッシブシャシーコンポーネントとアクティブコントロールシステムの両方が変更されました。コンポーネントとシステムの相互作用も、ターボGT専用に設定されています。
スポーティーな新しいカイエンのフラグシップモデルは、製品ラインに提供される走行性能強化のための全てのアクティブシステムを標準装備します。ポルシェアクティブスタビリティーマネジメント（PASM）を備えたアダプティブ3チャンバーエアサスペンションに加えて、パワーステアリングプラス、ポルシェダイナミックシャシーコントロール（PDCC）アダプティブロール補正システム、リアアクスルステアリング、およびポルシェトルクベクトリングプラス（PTV Plus）の全てが標準装備されます。
横方向のダイナミクス専用に開発されたパフォーマンスタイヤ
新しいセットアップのベースとなるのが、カイエンターボGT専用に開発された22インチPirelli P Zero Corsaタイヤです。カイエン全モデルにオプション装備される21インチパフォーマンスタイヤに比べて、さらに強力なグリップを備えたこのタイヤは、性能の向上とアンダーステアの低減の間のバランスに優れています。前輪のフランジ間のリム幅が10.5インチになりました。これは、標準のカイエンターボ ホイールよりも1インチ広く、カイエンターボクーペのオプションの22インチ GTデザイン ホイールよりも0.5インチ広くなっています。これによって、フロントの285/35 ZR22タイヤが増加したコーナリング力を伝えることが可能になり、ターボGTはより精確に方向転換し、さらに大きな横加速度を許容します。0.45度増したネガティブキャンバーがこの増加したコーナリンググリップをサポートします。シャシーのスペシャリストは、タイヤサイズとキャンバー設定とともに制限範囲を拡大し、広範なテストにおいて、最もダイナミックな運転操作でもホイールがアーチを通過することを確認しました。アクティブに操舵されるリアアクスルは、315/30 ZR22タイヤを介して最大限のトルクを伝えます。
全てのアクティブシステムとの体系的な連携
より高い負荷を最適に処理するために、エアサスペンションの剛性が、3段階の全てにおいて向上しています。通常モードで約10%、スポーツプラスモードで約15%、システムの剛性が高くなりました。これによって、ダンパー特性も調整する必要が生じ、フロントダンパーも大幅に強化されました。その結果、ロール安定性とロードホールディングがさらに向上し、高速コーナリングでのさらに精確なターンイン動作が実現しています。さらに、長いヘルパースプリングを取り付けることで、ピッチやロールも軽減されています。リアアクスルでは、より剛性の高いダンパーマウントが精密な応答を保証します。
ランニングギアのセットアップ時の目標は、ポルシェ特有の調和のとれたシャシー特性を維持しながら、スポーツプラスモードでターボGTのダイナミックなポテンシャルを十分に発揮できることにありました。このセットアップは、明らかに固いシャシー設定でありながら、ノーマルモードにすると快適な乗り心地が得られます。
スポーティーなシャシーのセットアップは、適合された制御ソフトウェアを備えたポルシェダイナミックシャシーコントロール（PDCC）電気機械式ロール安定化システムによって補完されます。このシステムは、フロントとリアのスタビライザーのねじれ剛性を数ミリ秒内に調整して、車両ボディをアクティブにサポートします。0.8Gまでの横加速度において、2名の乗員によるカイエンターボGTのボディの傾きを抑制します。これは、タイヤへの負荷も制御し、内側ホイールの早期のスリップを防ぎます。
コンパクトスポーツカーのようなハンドリング
ステアリングシステムもアップデートされており、フロントステアリングからのフィードバックが増し、ドライバーは走行状況や路面条件のさらに正確な情報を受け取ることができます。セットアップの変更が、操舵力と操舵快適性に影響を与えることはありません。標準装備のリアアクスルステアリングによって、カイエンターボGTは遅延なく方向転換し、後輪の横加速度が素早く立ち上がります。前後のアクスルは、さらに高速で同じ方向に操舵されます。ターボGTのこの機能は、専用に設計されたスポーツタイヤのポテンシャルを活用するために変更されました。その効果は、特にサーキットの高速セクションにおいて明らかな走行安定性のさらなる向上です。適合されたポルシェトルクベクトリングプラス（PTV Plus）は、ターゲットを絞ったブレーキ介入によってターンイン挙動をサポートし、完全可変ディファレンシャルロックがコーナー出口での加速に必要なトラクションを向上させます。この完全に新しいシステムのセットアップによって、カイエンターボGTの運転席に座ると、実際よりはるかに小型で軽量の車に乗っているように感じられます。
その際立つダイナミック性能に合わせて、カイエンターボGTにはポルシェセラミックコンポジットブレーキ（PCCB）システムが装着されています。スポーツタイヤのグリップ性能が、さらに精確なABSの介入を実現しています。このようなスリップリミットでの精確な制御は、サーキットのコーナー入口でブレーキをかけるときに特にメリットをもたらします。カイエンターボGTは、標準装着タイヤのグリップ性能によって、非常に高速であるだけでなく運転も容易です。
幅広いアシスタンスシステム
ポルシェは、ニューカイエンターボGTのために広範なドライバーアシスタンスシステムを提供しています。これらのシステムは、全てのカイエンモデルのために開発されました。警告およびブレーキアシストシステム、ナイトビジョンアシスト、レーンチェンジアシスト、交通標識認識を備えたレーンキープアシスト、アダプティブクルーズコントロールを備えたポルシェイノドライブによって、走行中の安全性と快適性が向上します。リモートパークアシスト、サラウンドビュー付パークアシスト、リアビューカメラ付フロントおよびリアパークアシストによって、狭いスペースへの駐車、立体駐車場への駐車、車庫入れが容易になります。
