完全に亜鉛メッキされたボディは、主にアルミニウムとスチールの組み合わせから成ります。ストラットマウント、アクスルマウント、リアサイドメンバーは、ダイキャストアルミでできています。ショックアブソーバーマウントは鍛造アルミ部品です。フロントサイドメンバーは、アルミシェル構造と押し出し形材を組み合わせています。1,941mmのシルは、7チャンバー押し出し形材として設計されており、スチール製シルと比較して、各サイドの部品数が15個から3個に減ります。
熱間成形されたスチールが車内を保護します(Aピラー構造、Bピラー内側/外側、サイドルーフフレーム、シートクロスメンバー)。特筆すべきは、マンガン-ホウ素鋼のバルクヘッドクロスメンバーです。管状のコンポーネントにいくつもの横断面を作るために特別な製造工程が採用されています。これによって、最適な重量で最大の強度が得られます。フロントおよびリアエンドのコンポーネントを除く全てのボディはアルミニウム製です。絞り深さ325mmのアルミニウム製一体型サイドパネルは、開発および製造工程において大きな課題となりました。タイカンに使われているアルミニウムの容量は約37%にもおよびます。
車の中央の低い位置にバッテリーが取り付けられているため、重心が非常に低くなっています。その統合は、ボディデザインにおいて要となりました。アンダーフロアのアルミニウム製バッテリーハウジングは、タイカンの安全構造の一部として合計28本のボルトでボディに取り付けられています。
後席足元のバッテリーのくぼみである「フットガレージ」は、後席の座り心地を改善し、同時にスポーツカー特有の低い車高とフライラインを可能にします。その結果、アンダーフロアのバッテリーレイアウトにもかかわらず、低い着座位置と、十分な後席のヘッドルームが確保されます。フロントに84リッター、リアに407リッターの2つのラゲッジコンパートメントを備えます。
パノラミック固定ガラスルーフ:ルーフの補強メンバーを排除したクリアな視界
横方向の補強メンバーを必要としないオプションのパノラミック固定ガラスルーフは、そのフラットな構造によって、シルエットに調和して溶け込みます。つまり、タイカンのルーフの面積は1m2になり、さらに快適な空間と風通しのよさを提供します。ポルシェのルーフトランスポートシステムも取り付けることができます。
ポルシェで初めて、低放射率断熱ガラスがパノラミック固定ガラスルーフに使用され、非常に薄い複数の金属膜が断熱ガラスに塗布されています。断熱ガラスは短波放射を通過させて遠赤外放射を反射することから、夏季に車内の温度が急速に上がることはありません。これはまた、冬季には車内の熱が長く保たれることを意味します。そのため、ティンテッドガラスと組み合わせると、ロールブラインドが不要になります。ガラス構造の中間層は、車内の遮音にも寄与します。